新規顧客の獲得よりも顧客化に注力せよ!

ビジネス

大手企業では回復の兆候が見られますが、中小零細企業や地方ではいまだに深刻な状況です。

このような厳しい状況のなかで、多くの経営者は収益をあげるために日々格闘しています。

しかし、有効な打ち手が見つからずに苦労しているのが現実です。

そこで、今回は、モノが売れない時代だからこそ、収益をあげるために何をすべきかを解説します。

景気が悪くても効果的な打ち手はあります。ぜひ、明日からの経営にお役立てください。

追い詰められる中小零細企業

「チラシを撒いてもまったく反響がない!」
「お客様からのお問い合わせがまったくない!」
「価格競争が激しくて原価割れ状態に陥っている!」

最近、お会いする経営者の方からこのようなご相談をよく受けるようになりました。

本格的な景気が回復しないなかで、多くの中小企業は厳しい経営を強いられています。
また地方経済への打撃は深刻で、都市部に比べて地方での停滞感は相当なものだと思われます。

景気は循環すると言われているので、数年後にいずれまた景気が上向いてくるかと思いますが、
右肩上がりの経済の時代を終えて、日本経済はゆるやかに下降路線を描いています。

今後、景気が回復してもその効果は限定的になると予想され、
大企業を中心とする一部の企業しか景気回復の効果は波及しないのではないかと考えられます。

このように、構造的な不況に襲われている状況において、
新規顧客を集めることは大変難しいと言わざるを得ません。

大手企業は、新規顧客を獲得するために、
大胆なコスト削減や商品の値下げなどを行っていますが、
そのような施策が打てるのは資本力のある大手企業の話。

経営資源が限られている中小零細企業が、
大手企業と同じような施策を打てるはずがありません。

では、今のような売れない時代に、
中小零細企業は収益をあげるために何をすべきなのでしょうか。

新規顧客の獲得への投資はハイリスク

誤解を恐れずに言えば、不況のように消費マインドで低迷している時は、
頑張って新規顧客を獲得しようとしてはいけません。

消費者は財布のひもをきつくしばって、モノを買おうとしません。

少しでも安いものを購入しようと、
インターネットで安く売っているショップを検索したり、
チラシを見比べるなどして徹底して吟味しています。

安いことが購入の絶対条件になっているんですね。

このような状況のなかで、新規顧客を獲得するために投資をしても、
十分な反響を得ることはできません。

チラシやダイレクトメールを大量に打ってみたり、
ライバル会社に対抗して価格を下げみたところで、収益にはつながりません。

大手企業であれ、中小零細企業であれ、景気の循環に逆らうことはできないのです。

景気の悪い時は、例外はありますが、商品が売れなくなります。
そして、顧客を獲得する単価が明らかに高くなります。

景気がよい時であれば、消費者の購買意欲が高いとことが前提になりますが、
不景気時は消費マインドが沈んでいるので、
購買意欲を刺激することから始めなければなりません。

それには、相当の投資が必要になります。

資金的に余裕のある企業であれば構いませんが、
中小零細企業が現在のようなモノが売れない時期に
新規顧客を獲得するための大きな投資をすべきではありません。

新規顧客の獲得よりも顧客化が重要

現在のように消費が落ち込んでモノが売れない時は、
新規顧客の獲得ではなく、顧客化によって既存客の掘り起こしすることをお勧めします。

顧客化することで、既存客にリピートしてもらい、
さらにクチコミによる紹介客の獲得を狙うのです。

実は、新規顧客の獲得に注力し、
既存客を放ったらかしにしている会社が少なくありません。

しかし、既存客は一度あなたの会社の商品・サービスを購入している訳ですから、
あなたの会社のことを一番よく知っています。

商品やサービスに不満を抱えていなければ、
基本的にはあなたの会社のファンになり得る存在なのです。

そんな、既存客を放置しておくのはとてももったいないことだと言えるでしょう。

そもそも、新規顧客の獲得はとてもコストがかかりますが、
既存客にリピートしてもらうのはそれほどコストがかかりません。

新規顧客を獲得するコストに比べて、何十分の一で済みますから、
資金に余裕のない中小零細企業は既存客のリピートや紹介客の獲得が
成長発展のため有効な手段となるでしょう。

今後、市場の成熟化や少子化などで、多くの市場が縮小していくことが予想されます。

つまり、見込み客が自然に減っていくのです。

会社の将来的な成長発展を考えたときに、新規顧客の獲得も重要ですが、
さらに顧客化することがいかに重要なことであるかご理解いただけるかと思います。

効果的な顧客戦略を考える

では、次に具体的な顧客化するための戦略をご紹介する訳ですが、
本題に入る前に、既存客がリピート購入してくれない理由について考えてみましょう。

単純な話なのですが、既存客がリピート購入してくれないのは、
あなたの会社で商品・サービスを購入したことを忘れてしまっているからです。

たとえ、あなたの会社が提供する商品やサービスに満足していたとしても、
日々の忙しさから忘れてしまっているのです。

ですから、顧客化では、既存客の記憶から
購入した商品・サービスの満足感が残るように手を打つことが決め手になります。

そのために、顧客化でよく使う手法としては、
ニュースレターやメールマガジンを送り、既存客に情報を提供し続けることです。

こうすることで、既存客の記憶にあなたの会社や
商品・サービスの感動、満足感を定着化させます。

ニュースレターやメールマガジンの内容が役立つ情報であれば、
さらにクチコミによって紹介客の獲得にもつながります。

ニュースレターやメールマガジンの反響を高めるには、
少なくとも以下のような情報を盛り込むようにしてください。

(1)人物

中小零細企業は、経営者やスタッフそのものが広告であり、商品になります。

大手企業のように資本のある会社では、
有名人やタレントなどをイメージキャラクターに採用することができますが、
中小零細企業ではそんな余裕はありません。

ですから、経営者やスタッフが広告塔になるのです。

反響の高いニュースレターやメールマガジンは、誰が書いたものなのか、
そしてそれはどのような人なのかということがわかりやすく示されています。

(2)物語

商品やサービスを購入した後も、

「購入してよかったのだろうか」

と不安を抱えているお客様が少なくありません。

お客様に真に満足してもらうには、購入後の不安を解消しなければなりません。
商品のよさをあらためて説明することが大切です。

また、商品の開発秘話や苦労話、活用事例などを、
ニュースレターやメールマガジンで紹介してあげるとよいでしょう。

会社の創業物語や経営理念、ビジョンなども、
お客様の心をがっちりとつかむ効果が期待できます。

(3)商品

顧客化においては、リピート、もしくは紹介客を獲得するという
明確な目標があるので、売りたいと考えている商品をアピールしなければなりません。

商品のよさを伝えるには、商品を購入した時にお客様が得られるメリットや
そのメリットが得られる明確な根拠などを示すとよいでしょう。

購入されたお客様の評価や声などを紹介することも重要です。

新聞や雑誌などで紹介された記事などがあれば、
それをあわせて紹介するとさらに効果があります。

私がコンサルティングをしている案件では、
ニュースレターやメールマガジン以外に、以下のようなツールを用いて顧客化を行い、
素晴らしい成果をあげています。参考にしてみてください。

ケース1:仏壇店

地方にもよりますが、仏壇店は、新聞に掲載される
お悔やみ情報を見て飛び込みで営業するというスタイルが一般的です。

しかし、このような営業のやり方は、喪主や遺族の方に嫌われるだけでなく、
営業マン自身もかなりの精神的な負担を抱えるなど、問題がありました。

そこで、地域それぞれの葬儀のやり方や習慣などを
「ご葬儀の手引き」として編集し、地域の家庭に配ることを提案しました。

その結果、単に、新規の引き合いが増えるだけでなく、
既存客が「ご葬儀の手引き」を親類や友人の家庭に配ってくるようになり、
紹介客を一気に増やすことができました。

「ご葬儀の手引き」は、地域に密着した内容になっており、
書店で販売されているような全国共通の葬儀本ではありません。

そのため、各家庭に配った「ご葬儀の手引き」が捨てられることなく、
顧客化ツールとして機能し続け、紹介客の獲得に効果を発揮しています。

ケース2:ハウスメーカー

ハウスメーカーは、チラシや展示会などで集客していますが、
メーカー乱立による過当競争によってチラシの反響が悪く、
展示会に訪れる見込み客も減少している傾向にあります。

また、仮にお問い合わせを頂いたとしても、うまくクロージングし、
契約するのが大変難しくなってきています。

そこで、紹介客の獲得する顧客化戦略を提案。

お客様に建てた住宅を縮小した模型をプレゼントすることにしました。

上空から住宅全体を見ることはなかなかできませんが、
模型であればそれが可能になるとあって大変好評でした。

模型の効果は、お客様の満足度を高めるだけではありません。

新築お祝いに訪れた親類や友人が、
住宅の模型を見てひと目で住宅メーカーのファンになり、
その住宅メーカーに新築住宅やリフォームを発注してくれるようになりました。

住宅の模型が商品のよさを語ってくれたのです。

まとめ

このように、ニュースレターやメールマガジンだけでなく、
顧客化する方法はアイディア次第でいくらでも生み出すことができます。

この記事を参考にしながら、あなたの会社でも

「お客様に喜んでいただく」

という視点から顧客化戦略を考えてみてください。

他の会社にはないオリジナルの顧客化戦略が、
あなたの会社に収益をもたらしてくれることでしょう。

島倉大輔島倉大輔

島倉大輔

経営コンサルタント。就職人気ランキングトップ企業の取締役、国立研究所の研究者の地位を捨て、失意のアルバイト生活から這い上がってきた壮絶な逆転人生。「人生、何度でもやり直せる!」と信条にコンサルティングを開始。各業界で勝ち組企業や成功者を生み出してきた。朝日放送『雨上がりのAさんの話』、テレビ朝日『お願い!ランキング』『やじうまテレビ!』等に出演。日経ビジネス、FLASH、アントレ、フジサンケイビジネスアイ、近代中小企業など、メディア掲載多数。また、全国の商工会や青年会議所、金融機関などで講演も行っている。著書に『大手とケンカしても負けない、経営逆転のヒントあります。』がある。

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島倉大輔

経営コンサルタント。株式会社マーキュリーコンサルティング代表取締役。就職人気ランキングトップ企業の取締役、国立研究所の研究者の地位を捨て、失意のアルバイト生活から這い上がってきた壮絶な逆転人生。「人生、何度でもやり直せる!」と信条にコンサルティングを開始。各業界で勝ち組企業や成功者を生み出してきた。朝日放送『雨上がりのAさんの話』、テレビ朝日『お願い!ランキング』『やじうまテレビ!』等に出演。日経ビジネス、FLASH、アントレ、フジサンケイビジネスアイ、近代中小企業など、メディア掲載多数。また、全国の商工会や青年会議所、金融機関などで講演も行っている。著書に『大手とケンカしても負けない、経営逆転のヒントあります。』がある。博士(学術)。

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