ランチェスター戦略~弱者が勝つための弱者逆転の法則

ビジネス

ランチェスター戦略を知っていますか?

ランチェスター戦略は「弱者の戦略」とも言われているもので、
小さい会社が勝ち残るために必須の戦略であると言われています。

そして、実際に、ソフトバンクの創業者である孫正義氏、
H.I.S.会長の澤田秀雄氏、一風堂創業者である河原成美氏が、
創業時にランチェスター戦略を使って、ビジネス立ち上げに成功したのは有名な話。

なので、経営者や起業家にとって、ランチェスター戦略は絶対に知っておくべきです。

とは言っても、ランチェスター戦略の本を読むと、
ランチェスターの法則を説明するために使われている数式に惑わされて
本質を理解せずに終わってしまう場合があるんですよね。

なので、今回は、ランチェスター戦略について解説をしていきたいと思います。

ランチェスター戦略とは何か?

ランチェスター戦略とは、イギリスのエンジニアである
フレデリック・ランチェスターが発見したランチェスターの法則をもとに作られた戦略です。

彼は、第一次世界大戦に直面したときに

「軍の戦闘力は何によって決まるのだろうか?」

という疑問を感じ、戦略論について研究を始めました。

戦略論については、戦略という言葉は使われていませんが、歴史的には

孫子による「兵法書」、カール・フォン・クラウゼヴィッツの「戦争論」
アントワーヌ=アンリ・ジョミニの「戦争概論」などがあるのですが、

彼が凄いところは、過去の戦略論は質的な分析に終始しているのですが、
徹底した数量的な分析、解析をもとに理論を構築したところですね。

そして、このランチェスター戦略は、「弱者の戦略」と「強者の戦略」で構成されています。

ランチェスター弱者の戦略

ランチェスター戦略では、弱者と強者では異なる戦略で戦うべきだと言われています。

そして、弱者は、大手とはガチンコで戦うのではなく
大手が入って来れないようなニッチな市場で戦うべきだと説いています。

要は、差別化戦略をとるということですね。

例えば、H.I.S.の澤田氏は、添乗員付きの団体旅行が主流で、
裕福な人しか海外旅行に行けない時代に、

バックパッカーであった自身の経験を活かして、
低予算でいける個人旅行をターゲットにしました。

有名ではない航空会社、乗り継ぎ便、閑散期といった不人気な航空券に絞って、大量に仕入れて
お金はないが時間はある大学生を対象にして、格安の海外旅行券を販売して成功しました。

普通の大手が、絶対に参入してこない格安個人旅行市場というニッチ市場を狙って成功したわけです。

ランチェスター強者の戦略

では、強者はどのように戦うのかということですが、
弱者がやったことに対して、同じことをやることで潰しにかかるのが基本戦略。

ベンチャー企業が必死になって開発した商品を
後から大手が丸ごとパクって同じような商品を販売するケースをよく見ますが、
このように後だしじゃんけんで追随していくのがランチェスター強者の戦略です。

実際に、わたしがコンサルをしているクライアントでも、大手の会社から
商品のコンテプトやパッケージのデザイン、サイトのデザインや構成をよくパクられるのですが、

このように、弱者があることを追随して同じことをやることで、差別化を防ぐことができるわけです。

ランチェスター戦略の本質は「弱い者いじめ」である

ランチェスター戦略の効果的な使い方についてですが、

まず、弱者の戦略を用いて、小さい市場においてトップになることで
安定的な収益の確保とブランドの構築を行ってください。

そして、自分よりも弱い相手が参入してきたら、自分の方が強者になるので
強者の戦略をとって、相手を潰していくわけです。

ランチェスター戦略というと、弱者の戦略ばかりが注目されがちですが、
自分が成長していくということは、弱者から強者になるということなので、
強者の戦略とあわせて実行していくことが大事なんですね。

なので、ランチェスター戦略に詳しい人は、
ランチェスター戦略を、弱者の戦略とは呼ばずに、弱い者いじめ戦略と読んでいます。

弱いものいじめ戦略というと、言葉や表現の仕方は悪いのですが、
ランチェスター戦略の本質はそこにあると言ってよいでしょう。

ランチェスター戦略のメリットとデメリット

では、ランチェスター戦略のメリットとデメリットについて考えてみましょう。

基本的に、ランチェスター戦略に考えられるデメリットはありません。

冒頭にあげた、孫正義氏、孫正義氏、澤田秀雄氏、河原成美氏のいずれの方も、
現在のように大きな会社になってもランチェスター戦略を大事にしていると各方面で述べています。

もちろん、ランチェスター戦略だけを実行しているだけでなく、
他にもいろいろな戦略を用いて、組み合わせて実行しているのですが、
基本となっているのがやはりランチェスター戦略ということです。

なので、ランチェスター戦略はメリットしかないと言ってよいでしょう。

創業時や市場でまだ認知されていない状態のときに

「自分は何でもできる」「何でもそろっている」

というのは愚の骨頂。絶対に売れるようにはなりません。

「何でもできる」というのは「何もできない」と言っているのと同じだからです。

だからこそ、自分が弱者であるならば、絶対にランチェスター戦略をベースに
ビジネスやマーケティングを組み立てるべきです。

そのためには、業界や市場の動向に常に目を光らせて、

  • 強者の弱点を特定する
  • 弱者の行動を監視する

ことに全力を注いでください。

強者に対しては、弱点を見つけて、そこに経営のリソースすべてを注ぎ込んで一点突破する。
弱者に対しては、追随戦略で差別化を早い段階で食い止める。

ことを意識してください。

当然、相手も対応をとってくるわけですから、
そういった変化をいち早く察知して、柔軟に対応していくことが大事です。

ランチェスター戦略は使えないという批判について

デメリットが考えられないぐらい有効なランチェスター戦略ですが、
ランチェスター戦略ではうまくいかないという意見が結構あるんですね。

しかし、ランチェスター戦略は、数ある戦略のひとつであって、唯一の正解ではありません。

ランチェスター戦略を中心に、他の戦略を組み合わせることが大事です。

また、ランチェスター戦略がうまくいかないと言っている人の話を聞くと
市場の絞り込み方を間違えているパターンが多いんですね。

それは、ランチェスター戦略自体がダメなのではなく、
単純にランチェスター戦略の運用の仕方を間違えているだけです。

そもそも、一回やってみて、思ったような結果がでなかったからといって
ランチェスター戦略は使えないと言ってしまうのは、あまりにも浅はかではないでしょうか。

結果が出ないのであれば、トライアル・アンド・エラー。
結果が出るまで繰り返してやってみることが大事です。

さらに、ネットの時代に、ランチェスター戦略はもう通用しないのではという意見もありますが、
確かに、ランチェスター戦略をそのまま当てはめても通用はしません。

だからこそ、先ほども言ったように、他の戦略と組み合わせることが必要なんですね。

このように、批判の中身を見てみると、ランチェスター戦略に依存し過ぎている、
または、運用の仕方を間違えているという話ばかりで、

ランチェスター戦略そのものが通用しないということはないんですね。

なので、表層的な部分だけを見て、ランチェスター戦略を全否定してしまうのではなく

人類が生みだした英知とも言えるランチェスター戦略をどのようにしたら
自分のビジネスに落とし込めるのかというポジティブな姿勢で捉えてください。

真価を知らずに、全否定してまうのは、大きな機会損失になるだけなので注意しましょう。

まとめ

ランチェスター戦略とその有効性について解説してきました。

ランチェスター戦略は、ビジネスを成長発展させるために必要なものですが、
ネットやビジネス書などで紹介されている事例が、時代に合っていないものが多く、

自分のビジネスに、どのように適用したらいいのかわからりずらいというのが難点です。

ランチェスター戦略を自分のビジネスにどのように落とし込んでいけばいいのかについては
自己流でやるのではなく、専門家からのアドバイスを得ながらやっていくべきでしょう。

島倉大輔島倉大輔

島倉大輔

経営コンサルタント。就職人気ランキングトップ企業の取締役、国立研究所の研究者の地位を捨て、失意のアルバイト生活から這い上がってきた壮絶な逆転人生。「人生、何度でもやり直せる!」と信条にコンサルティングを開始。各業界で勝ち組企業や成功者を生み出してきた。朝日放送『雨上がりのAさんの話』、テレビ朝日『お願い!ランキング』『やじうまテレビ!』等に出演。日経ビジネス、FLASH、アントレ、フジサンケイビジネスアイ、近代中小企業など、メディア掲載多数。また、全国の商工会や青年会議所、金融機関などで講演も行っている。著書に『大手とケンカしても負けない、経営逆転のヒントあります。』がある。

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島倉大輔

経営コンサルタント。株式会社マーキュリーコンサルティング代表取締役。就職人気ランキングトップ企業の取締役、国立研究所の研究者の地位を捨て、失意のアルバイト生活から這い上がってきた壮絶な逆転人生。「人生、何度でもやり直せる!」と信条にコンサルティングを開始。各業界で勝ち組企業や成功者を生み出してきた。朝日放送『雨上がりのAさんの話』、テレビ朝日『お願い!ランキング』『やじうまテレビ!』等に出演。日経ビジネス、FLASH、アントレ、フジサンケイビジネスアイ、近代中小企業など、メディア掲載多数。また、全国の商工会や青年会議所、金融機関などで講演も行っている。著書に『大手とケンカしても負けない、経営逆転のヒントあります。』がある。博士(学術)。

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