「宝の地図」というと、起業家や経営者であれば知っている人も多いかと思います。
ちなみに、「宝の地図」は、秘宝が隠されている場所を示した地図という意味ではありません。
思い描いている夢や将来の理想像について、
一枚のボードや紙に写真を貼るなどして表現をして、ビジュアル化するというものです。
かなり流行ってはいるのですが、効果に懐疑的な人も多く、
「本当に効果があるのだろうか」
と疑問に思っている人も少なくありません。
なので、今回は、「宝の地図」について、徹底検証したいと思います。
宝の地図とは何か?
さて、冒頭でも解説しましたが、
「宝の地図」とは、自分の夢や目標、将来のビジョンについて、
1枚のボードや紙に、写真や文字などを使って表現したもので、
毎日、自分が作成した「宝の地図」を見ることで、
夢や目標を自分の頭のなかに定着させることを目的としています。
例えば、「家族でハワイに行きたい」という目標があるのであれば、
ハワイの写真や家族の集合写真をボードに貼り付けて、それを毎日見ることで
わくわくする気持ちを維持しながら、目標実現のために行動できるようにするということです。
元々、「宝の地図」は、アメリカで、トレジャーマップやビジョンボードと呼ばれていたもので
自己啓発の世界で流行っていた手法なのですが、日本人の講師によって日本に持ち込まれました。
宝の地図は本当に効果があるのか?
では、「宝の地図」は夢の実現に本当に効果があるのでしょうか?
結論から言うと、「宝の地図」を作っただけで夢が実現するということはありません。
要は、「宝の地図」は夢や目標の実現にはまったく無関係であるということです。
しかし、「宝の地図」を作って、夢が叶ったという人はいますよね。
それは、なぜなのかというと、プラシーボ効果が働いたからです。
砂糖であっても、患者が病気に有効な薬だと思ってこれを服用すると
症状が緩和する現象のことを、プラシーボ効果と呼んでいますが、
「宝の地図」で夢が叶ったという人は、
「宝の地図」が夢の実現に効果があると強く思い込んでいて、
何らかのきっかけでプラシーボ効果が働いて、夢を実現することができたわけです。
なので、「宝の地図」を作ったから夢が叶ったということではないんですね。
もちろん、どのような方法であっても、夢が叶えば結果オーライなので問題ありませんが、
「万人にプラシーボ効果が発生するわけではない」
ということを押さえておいてください。
そして、「宝の地図」で夢が叶ったという人の話を聞くと、
「宝の地図」を作成 ⇒ 夢の実現
したわけではなく、
「宝の地図」を作成 ⇒ 「◯◯◯◯」 ⇒ 夢の実現
というように、「◯◯◯◯」をしたからこそ、
夢を実現することができたことがわかりました。
後ほど、「◯◯◯◯」が何なのかについては触れていくのですが、
間違っても「宝の地図」を作って、夢見心地になっているだけでは、
夢を実現することは絶対にできないので注意してください。
宝の地図に欠けているもの
さて、ここでは、先ほどの「◯◯◯◯」を解説するために、
心理学者が提唱している効果のある夢の叶え方についてご紹介します。
ハンブルグ大学のガブリエル教授が提言しているWOOPという方法です。
WOOPとは、夢をかなえる4つの要素それぞれの頭文字をとったもので、
- W=Wish(願望)
- O=Outcome(結果)
- O=Obstacle(障害)
- P=Plan(計画)
がその要素となります。
これを見てもらえればわかると思いますが、
「宝の地図」では、Wish(願望)とOutcome(結果)についてしか扱っておらず、
夢を実現するときのObstacle(障害)や夢を実現するためのPlan(計画)が抜けているんですね。
なので、「宝の地図」だけでは、夢を実現することはできないんです。
大事なことは、夢を実現するための障害が何かをしっかりと特定して、
夢を実現するための行動計画をきちんと作ること。
つまり、「◯◯◯◯」は、行動計画だということです。
実際、「宝の地図」で夢が叶ったという人の話を聞いてみると、
夢を実現した人たちは「宝の地図」を作って終わりにはしていないんですね。
「宝の地図」を作った後、
- 1年後に、どういったことを実現するのか。具体的な数値目標は?
- 目標を実現するために1カ月単位でやるべきことは何か、達成すべき数値目標は?
- 目標を実現するために1週間単位でやるべきことは何か、達成すべき数値目標は?
- 目標を実現するために毎日やるべきことは何か、達成すべき数値目標は?
というところまで、行動計画をブレイクダウンしているんです。
だからこそ、ブレることなく行動することができ、夢を実現できたわけです。
こういった行動計画まで落とし込むことができなければ、
「宝の地図」はただの妄想で終わってしまうことになります。
ガブリエル教授は、著書のなかで
夢を見る(理想をイメージする)という行為によって、人は頭のなかでそれを達成してしまう。
そして、現実世界でのトラブルや逆境を乗り越えようとする行動力が低下する。
と警鐘を鳴らしています。
実際、「宝の地図」を作ることで、妄想に取りつかれてしまって、
頭のなかが「お花畑でスキップ状態」になっている人が多いんですね。
なので、そうならないためにも、行動計画までしっかりと作り込むことが大事です。
夢を叶えるためにひたむきに行動する強さを持つことが大事
「宝の地図」さえ作れば、全自動で夢が叶う
と妄信している人がかなりいて驚くのですが、
絶対にそんなことはないということが、理解していただけたかと思います。
夢を叶えるためには、乗り越えなければいけない壁がいくつもあります。
そして、その壁を乗り越えるには、
魔法ようなすぐに結果の出る手法や楽して、簡単にといった方法はなく
地道にコツコツと頑張って行動するしかないということです。
夢を実現するために、何をすべきかということを、行動計画に落とし込んで、
毎日それを実行していけば、遅かれ早かれ、夢を実現することはできます。
「宝の地図」がなければ、モチベーションを維持できないというのであれば
夢や目標を実現するのは絶望的だと言えるでしょう。
感情に左右されているようでは、夢を叶えることはできません。
現状に一喜一憂するのではなく、夢の実現に向かってひたむきに行動する強さを待ちましょう。
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