絵本「小学生のボクは、鬼のようなお母さんにナスビを売らされました。」
衝撃的なタイトルと子供が読む絵本には似つかわしくない絵。
もしかして、虐待の話かと思ってしまいますが、内容はぐっとくるお話でした。
実は、この絵本は実話に基づいたお話で、
作者で、徳島県で育児情報誌を発刊する出版社を経営している原田剛さんが
子供のころに経験したことを絵本として出版したそうです。
過去には、読者が涙する絵本として「奇跡体験!アンビリバボー」でも紹介されました。
「小学生のボクは、鬼のようなお母さんにナスビを売らされました。」 のあらすじ
主人公である剛は、父が50歳、母が40歳の時に生まれました。
父と母はナスビ農家でしたが、家は貧しく、
食卓にはいつも売れ残りのナスビを使った料理が並んでいました。
剛はナスビを見るのが嫌で嫌で、ナスビの鬼に追われる夢を見るほど。
剛が10歳になった時、突然、母が売れ残ったナスビを剛に渡して
近くの団地で売ってくるように命じました。
その時の母の顔はまさに鬼のようだったそうです。
早速、剛は団地に売りに行きましたが、まったく売れません。
帰ると母は鬼のような形相で叱責。また次の日も売りに行かされました。
剛は、売れなかったらまた怒られると思い、必死に声をあげてナスビを売りました。
すると、だんだんとナスビが売れるようになり、売るのが楽しく感じるようになりました。
剛のナスビ売りは1ヶ月ほど続きましたが、
突然、農作業中に母が倒れて入院。
入退院を4年ほど繰り返しましたが、母は亡くなってしまいました。白血病でした。
母が亡くなった後、剛は父に
「なぜ母はナスビを売りに行かせたのか」
その理由を聞いてみました。
すると、父は、こう答えました。
剛がナスビを売りに行っている間、母は車でいつも泣いていた。
母はあの時、自分が近いうちに死ぬことを知り、心を鬼にして、
剛に生きる方法を教えようとしていたと。
鬼の形相でナスビを売りに行かせた母。実は、全部、剛のためでした。
そして、絵本はこんな言葉で締めくくられています。
今、大人になったボクは、まだまだ駄目な所もありますが、
子供のころにナスビを売ったことがあるので、どんなしんどい事も平気です。
お母さんが天国から見ていてくれるから、どんな苦しいことも平気です 。
そして今ボクはナスビが大好きです。
明日も頑張ろうという気持ちになれる素敵な絵本
「獅子は我が子を千尋の谷に突き落とす」
「かわいい子には旅をさせろ」
という言葉がありますが、まさにそれを体現したお話でした。
剛を想う母の気持ちが伝わってくる愛情あふれる内容で、
明日も頑張ろうという気持ちになれる素敵な絵本でした。
絵本なので、対象は子供ですが、大人が読んでも感じることがたくさんある絵本なので、
まだ読んだことがないのであれば、ぜひご一読ください。
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