ソフトバンクが決算発表をしたが、予想を上回る超大赤字だった。
1兆4000億円の黒字だった昨年から一転して15年ぶりに赤字になったことで、
孫正義氏が謝罪する場面もあったほどだ。
では、なぜこれほどの大赤字になったのかというと、
グループ会社である投資会社ビジョンファンドの投資先である
米シェアオフィス大手ウィーワークの経営が悪化したためで、最終的に155億円の大赤字になった。
事業家であるホリエモンもウィーワークについては
誰が最後にババを引くのかという話をしていたが、
最終的にソフトバンクがババを引くという結果になってしまった。
支援打ち止めの基準について言及しなかった孫氏
株主総会では、孫氏は、
投資先の財務は、あくまでも独立採算であって
彼らが赤字になったからといって、
われわれが救済しに行くような投資は行わない今回のウィーワークはそれなりの事情があったが、
これで終わりにし、こういう例外はもうしない。
と述べていた。
が、懸念されるのはウィーワークだけではない。
ウーバー・テクノロジーズ(配車アプリ大手)の最終損益は赤字。
犬の散歩代行アプリのワグ(Wag)や屋内農業のプレンティ(Plenty)も
要請されている以上に投資をしたが、思ったような結果は出ていない。
ビジョンファンドの投資先はスタートアップ企業なので投資リスクは極めて高い。
そして、投資しても現金がバケツに穴が開いているかのように流れ出ていく。
だからこそ、支援打ち止めの線引きをはっきりさせることが必要だ。
しかし、今回、孫氏はその基準については言及しなかった。
最悪、ソフトバンク発の経済危機に発展する恐れがある
孫氏は、ウィーワークの失敗については認めたが、
「反省はするが萎縮はしない」
ということで、ビジョンファンドに次ぐ、第2、第3のファンドをつくって
積極的に投資をしていく方針を発表している。
ソフトバンクというと、携帯や通信というイメージが強いが、稼ぎ頭は投資部門だ。
成長性のあるスタートアップ企業に投資をして
収益をあげていくのが現在のソフトバンクのビジネスモデルである。
つまり、ソフトバンクが成長できるかどうかは、投資先企業の成長にかかっている。
現在、ソフトバンクは投資先企業に対して、カネやヒトを送り込んで
全面的な支援を展開しているが、残念ながら芳しい成果をあげてはいない。
万が一、投資先企業が経営に失敗してしまうと、ソフトバンク本体が大きなダメージを受けてしまう。
そして、ソフトバンクに出資している大手銀行の経営を揺るがすことになる。
さらに、株式市場に深刻な影響を及ぼしかねない。
最悪、ソフトバンクが倒産することで
ソフトバンク発の経済危機が起きる可能性すらある。
最悪の事態を避けるためにも撤退ラインの明確化を!
撤退ラインの明確化は、ビジネスにおいてとても大事なことだ。
しかし、ほとんどの人は撤退ラインを明確にせずに起業する。
そして、傷口を広げるだけ広げて再起不能な状態になる。
起業して1年後に残っている会社は40パーセント。
5年後は15パーセント。10年後は6パーセント。20年後は1パーセント以下だ。
起業してもかならず成功するわけではない。むしろ、失敗する確率の方がはるかに高い。
だからこそ、撤退する基準を起業する前に設けておくべきだ。
起業してダメならまた次のビジネスに挑戦すればいい。
ひとつのビジネスにこだわるべきではない。
再起不能になるような深刻なダメージを負わないために
撤退する基準を設け、いざというときは潔く撤退することが大事だ。
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