ほとんどの起業家が、精神疾患やうつ病といった大なり小なりの心の病を抱えていると言われているのですが、ではどのようなストレスで精神的に追い込まれているのでしょうか。
起業家のストレスの原因としては、
- 運転資金をどうするかという資金繰り問題
- 売上があがらない、集客できないというマーケティングの問題
- 人手不足でいい人が採れないという採用の問題
- 社員が結果をだしてくれないという教育の問題
- 社員が辞めていく、定着しないという組織運営の問題
- 周りに似たようなお店や商品が増えてきたというライバルの問題
などが考えられます。確かにどれも大事な問題で、悩んでしまうことはわかるのですが、病んではいけません。メンタルが崩壊して、やる気を失った時点で、起業は終わりです。やる気さえあれば、資金繰りの問題、集客、マーケティング、人材採用、育成、組織運営など、全部解決することはできるのですが、本人がやる気を失ったら終わりです。
起業や経営に関する本を読んでも、起業家のメンタルの問題についてはほとんど触れられていませんが、起業が成功するかどうかは、いかにメンタル崩壊を防いで、やる気を維持するかが重要です。
自分がやりたいことでなければ成功できない
起業を成功させるには、本当にやりたいことで起業してください。好きなことであれば、苦労があっても乗り越えることができるし、簡単にメンタルも崩壊しません。逆に、やりたくないこと、気乗りしないことで起業してしまうと、ちょっとしたことですぐに辞めてしまうことになります。
稼ぎたいとか、カッコいいからとか、副業感覚で、という人が増えていますが、まずそういった人は長続きしません。
私のコンサルティングの感覚からすると、8割ぐらいの人は本当にやりたいことで起業していないと思います。雑誌で勧めているからとか、何となく儲かりそうだという理由で起業した人が多く、そういった人は漏れなく失敗しています。
本気でやりたいと思っていないので、基本的に勉強不足。知識や情報、経験がないので、自分に軸がなく、他の人の意見に振り回されてしまって、結果がでずに心が折れて辞めることになるので、絶対にやりたくないことで起業しないでください。
自分が本当にやりたいことであれば、超集中状態に入ることができるので、どんな苦労があっても最終的に成功します。つまり、起業で成功するかどうかは、本当に自分がやりたいことに気づけるかどうかに尽きると言ってよいでしょう。
原因と結果の法則で考えてみる
自分がやろうと思っているビジネスが、本当にやりたいことなのかを確認するには「原因と結果の法則」で考えてみてください。
Aさん
【結果】ラーメン店を開きたいと考えています。
【原因】なぜなら、ラーメン業界は不況知らずと言われていて、不景気であってもラーメン店は潰れないという話を聞きました。そして、原価を抑えることができて、粗利が高く儲かるビジネスなので、成功するにはラーメン店しかないと考えました。
Bさん
【原因】大学時代、実家が経済的に苦しくて、仕送りもなかったので毎日の食事が大変でした。しかし、大学の近くに安くて、おいしいラーメンを提供してくれるお店があって、いつもお世話になっていました。野菜やお肉がたっぷり入っているラーメンで、自分のようなお金のない学生にとってはありがたいお店でした。お店の居心地もよく、ご主人から元気な笑顔でいつも励まされました。
【結果】お客さんを元気にできるラーメン店を自分でも開業したいと思い、ラーメン店を始めたいと決意しました。
結論としては、Aさん、Bさんともにラーメン店ですが、粗利が高くて儲かるからという理由だけで始めるラーメン店と、お客さんを元気にするために始めるラーメン店。どちらが人気がでるでしょうか。Bさんは、間違いなくどんな苦労があってもやり遂げると思います。一方Aさんは儲けることしか考えていないので、思ったようにお客さんが来てくれない、激しいクレームがあったなど、微々たる理由ですぐに辞めてしまうでしょう。
「原因と結果の法則」は普遍の法則なので起業にも当てはまります。結果から入るのではなく原因から考える。なぜ、そのビジネスをやろうと思ったのかということを徹底して追求してください。
想いと経験が組み合わさると最強のメンタルになる
「原因と結果の法則」で考えると、起業理由のなかに、自分の体験や経験、感想が自然と入ってきます。先ほどのBさんであれば、自分の学生時代の経験を通して、ラーメン店をやりたいという想いが入るわけです。
Aさんのように、原価が抑えられる、粗利が高くて儲かるといったことは事業をしていくうえで確かに大事ですが、それだけで事業を継続させることはできません。自分のモチベーションが続かないだけでなく、周りを巻き込んでいくことができないので、ビジネスが育ちません。
なぜ、この事業をやろうと思ったのかという想いと、それを裏打ちする実体験、それが組み合わさることで、事業は加速的に成長していきます。そして、困難なことがあっても簡単には挫けないというメンタルが完成するわけです。
想いが周りの人を巻き込んでいく
想いと経験が組み合わさることで、共感する人が増え、巻き込んでいくことができます。想いに共感した人が応募してくれる、勝手に商品やサービスを紹介してくれる、事業に出資してくれる、といった人が増えていくでしょう。
起業して成功するには、共感が得られることが何よりも大事。周りの人たちが、自然に自分のビジネスを後押ししてくれる環境づくりが理想で、それを実現できるのが共感です。
だからこそ、「原因と結果の法則」を使って、なぜ起業しようと思ったのかその理由と、それを裏打ちする経験を明確にしてください。
起業とは、自分がやりたいことをやるためにするものです。他人に遠慮は不要なので、自分がやりたいことを突き詰めて、徹底して押し出していきましょう。批判やアンチが生まれるかもしれませんが、心から応援してくれるファンが生まれ、周りの人が応援するために集まってくるでしょう。
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